偉人伝 ~伊勢を想う人々~

古くから日本人を魅了してきた伊勢という町。その繁栄は多くの偉人たちによって支えられてきました。
ここでは、知られざる偉人たちにスポットを当て、この町の魅力を再発見していきます。

伊勢の民を救い、寂照寺を復興させた僧侶
月僊

2020.06.15

月僊は、絵師としてでも充分成功していたにちがいない画才のある僧侶でした。そしてその絵を売って蓄財し、寂照寺を復興しました。僧侶が商売の真似をするなどけしからん、と心無い人々からのそしりを受けながらも、伊勢のために尽くした素晴らしい和尚さんの本当の姿をお伝えします。

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2020.06.15

貪欲で金儲けが上手なお坊さん、“乞食月僊”と賤しめられた寂照寺第8世住職の《真実》‼

江戸時代、外宮から内宮へ向かう参詣者たちで賑わった間(あい)の山、古市街道沿いにある寂照寺。
月僊がなくなった翌年、弟子で第9世の寂照寺住職となった定僊が建てた「月僊上人之碑」。月僊の生涯が綴られている。
寂照寺にある月僊の絵。人物に動きが感じられ、表情がとても豊か。
左の絵と一対で2曲の屏風に仕立てられている。人間味ある表情が月僊らしい。(寂照寺所蔵)
月僊の木造と、落款をもとに作られた陶板。陶板は、寂照寺の先代住職が、伊勢の神楽窯に製作を依頼したもの。(寂照寺所蔵)

あまりにも人間ができすぎていると、それをやっかむ人というのは必ず現れるものです。画才に恵まれ、同時代の芸術家、芸術愛好家から慕われ、慈悲深い僧侶としても行動力のあった月僊が、誰からも妬まれなかったはずはありません。例えば観劇の幕間にも、人のために絵を書く彼の姿を、蓄財マニアのごうつく坊主と悪口したくなる人の気持ちも、わからなくもありません。けれども知れば知るほど、月僊という人間は、ほんとうは、謙虚で、交友関係が広くまた深く、常に新しいことを積極的に考え、それを取り入れてきた稀代の天才と思われてならないのです。

伊勢の民を救い、寂照寺を復興させた僧侶
月僊

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