偉人伝 ~伊勢を想う人々~

古くから日本人を魅了してきた伊勢という町。その繁栄は多くの偉人たちによって支えられてきました。
ここでは、知られざる偉人たちにスポットを当て、この町の魅力を再発見していきます。

混乱の時代を憂い、遷宮を復活させた尼僧
「慶光院」

2020.04.15

伊勢神宮で20年に一度行われる式年遷宮。第62回の式年遷宮が平成25年に終わり、次の第63回は令和15年の予定。最初の遷宮は持統天皇時代、690年に行われたと伝わっているので、1300年以上の歴史があります。この遷宮行事が中断されていた時代に奔走したのが「慶光院」。いったいどんな方だったのでしょう。

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2020.04.15

朝廷も幕府も弱体化、世の中に敬神の心が薄れていくなか、女性でありながら立ち上がった「慶光院」歴代

 室町後期ごろの伊勢は、いったいどんな様子だったのでしょう。朝廷も幕府も弱体化し、都はおおいに乱れており、家をなくした難民のような人々があふれていたかもしれません。100年以上も建て替えられてなかったというお社は、どんな様子だったでしょうか。

 平安時代建立の建物が残る法隆寺などは、今もその壮麗な姿を保っています。けれども伊勢神宮は、20年に一度の造り替えを前提としていて、瓦葺きではなく萱葺き。神域は清らかに保っていたとしても、その姿にはうら悲しいものがあったに違いありません。

 当時、僧侶が宇治橋の架替などのために勧進するということは行われていたようですが、遷宮となると、神様のための宮を建て遷御するという重大事。正遷宮のための勧進を、僧侶に委ねる、ましてや尼僧になど委ねてよいものか・・・という抵抗はおそらくあったと想像にかたくない。それでも、何代にもわたって思いをつなげ、滞っていた正遷宮成し遂げた「慶光院」の努力と苦労を思わずにはいられません。この偉業のおかげで、今日の伊勢神宮の姿があるとさえ思えます。

混乱の時代を憂い、遷宮を復活させた尼僧
「慶光院」

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