お伊勢さんエッセイ

「遠くにいてしょっちゅう伊勢には行けないけれど、その様子は常に気になる」というお伊勢さんファンのみなさん。
毎月1日、朔日参りの風景と伊勢神宮をさらに深く知るためのお話をお届けします。

皇學館大学名誉教授・櫻井治男先生による
お伊勢さんエッセイ②
「神路通」と神馬伝承

2020.04.01

伊勢神宮の「外宮」の別宮、「月夜見宮」。ここは、夜を支配するといわれる月の神のお社です。伊勢には、ここの神様が白馬に乗って夜ごと外宮に通ったといわれる「神路通」が今もその道筋をとどめています。

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2020.04.01

外出自粛体制のさなか、神宮の香りに癒される〜卯月・朔日まいり

 4月朔日、コロナの蔓延が報道されるなか、早期の収束を祈念すべく行ってまいりました。

 外出自粛・平日・小雨ということもあり、さすがに人出はとても少なくて・・・。おはらい町も近年稀な、ひっそりとした人通り。おかげ横丁がなかった、40年くらい前の平日の様子を思い出しました。

 でも、桜は相変わらずとてもきれいです。私のお気に入りの神宮道場の裏手の桜も、五十鈴川の堤の桜も、神宮茶室脇の桜も、神苑の桜も。自然の営みはこうして粛々と進み、季節を伝えてくれています。しとしとと降る雨が霞のように春の風景をいっそう印象深くしていました。でも少しもの悲しくもあり、神様も今の事態を嘆いておられるように感じます。宇治橋前も閑散。思えば先月もすでにコロナの報道はあったけれど、人々は朔日餅に並んでいたのですが。今日は(当然と言えば当然で、そうあるべきなのでしょうが)みなさん外出自粛を守っておられて行列もなし。一日も早く、もとの賑わいが戻りますようにと祈らずにはおられませんでした。

 御手洗場も、柄杓を使ってお清めできなくなってました。でもその代わり、木枠を通した手水が流れていて、それはそれで風情があります。

 日本の歴史を習い始めた頃、一族を中心にした小さな集落が、やがて村になり、国ができ、日本として一つになっていく過程を知って、今度この世界の国々がひとつになるときは、宇宙戦争が起こるときかな、と漠然と考えました。何か大きな敵を目前にした時に、それに立ち向かうために人々は力を集めてきたからです。宇宙大戦争ではありませんでしたが、目に見えない外敵は、今世界をひとつにしようとしてくれているのだと信じます。

 そんな思いを抱きながら、正宮で深々と頭を下げました。

 コロナにかかっている皆様が、早く快癒されますように。これ以上深刻な事態が広まりませんように。来月の朔日参りは、晴れ晴れとした気持ちで行けますように・・・。(編集部・C)

 

皇學館大学名誉教授・櫻井治男先生による
お伊勢さんエッセイ②
「神路通」と神馬伝承

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